今から2年と数か月前。
ある日、トイレに入って踏ん張っておりました。
用を足し、トイレットペーパーで拭いた瞬間、指先に感じる生ぬるい液体の感触。
恐る恐る覗き込むと、そこは血の海!
イボ痔爆発の衝撃映像がそこに!
というわけで、イボ痔になって手術を受けた時の備忘録です。
前々からイボ痔である事は薄々分かっていました。
トイレで用を足した後、硬い塊が肛門にありましたから。
しかし、今まで大事に至らなかったこともあって、そのままにしていたんです。
その後、完全な負け戦が待っているとも知らず。
実は肛門大爆発までに、2回ほどの小爆発がありました。
最初は20代半ば。
勤務していたパチンコ店のトイレが和式だったため、余計な負担が掛かっていたんでしょう。
さらに、忙しい時にトイレ休憩といってお尻を出したままサボっていました。
それが良くなかったのかもしれません。
ある日、便器が血に染まっているではありませんか!
それも鮮血!
ポタポタと滴る鮮血!
さすがにビビりましたね、あの時は。
それでもトイレットペーパーで血を吸っていると、自然と出血が止まったので様子をみることに。
その後、トイレに行っても出血する事はなく、「単に踏ん張り過ぎたから切れたかな?」なんて思ってました。
これが1回目の小爆発です。
そして40歳頃。
2回目の小爆発が起こります。
この頃には肛門の状態が思わしくないことは分かっていました。
おそらくイボ痔であろうと。
時々、トイレットペーパーに出血の跡があったので、「痔」には違いなく、それが「イボ痔」なのか「痔ろう」なのかが問題でしたね。
痔ろうは手術をしなければならないため、会社も休まなければいけません。
「痔の手術で休みます。」
そんなことは口が裂けても言えん!
2回目の小爆発の時も、出血が収まってくれたので、放置してしまいました。
結局、「痔」といっても大した痛みもなく、大きな出血も1日(1回)で収まる状態だったので、病院に行くことが出来なかったんです。
そして、ついに3回目の爆発が起こります。
三度目の正直。
長年にわたるマグマ溜まりには大噴火へのエネルギーが充満していました。
出血が収まるのを待つ。
それを3日繰り返した時、限界を悟りました。
「収まらないわ、病院へ行こう。」
翌日、肛門の専門科の門を叩きました。
診察室ではなく「処置室」へ連れて行かれ、ベッドに横たわります。
おもむろに看護師さんにパンツまで脱がされ、薄いタオルをお尻にかけられ、先生が来るのを待ちます。
この初診時の待ち時間が長いこと。
「悲し過ぎる・・・」
お尻を丸出しで5分くらい放置されたのを覚えています。
やがて先生が登場。
症状を伝えると、肛門に「ブスッ!」と指先が。
「デカいねぇ~、全部で3個あるよ。」
「これは切るしかないねぇ~。」
死刑宣告です。
診察後、事前の検査と入院日を打合せして帰路につきました。
さて、検査日。
この日は大腸内視鏡検査です。
イボ痔であることは分かっているんですが、状態の確認、および直腸や大腸に問題がないか検査するそうです。
前日の朝から食事をせず、万全の体制で病院へ。
内視鏡検査をする場所へ行くと、待合室には大勢の患者さんが。
意外と検査をする人が多いんですね。
看護師さんから下剤を受け取り、時間をかけて飲みます。
始めのうちは、「それほど不味くないな。ちょっとしょっぱいかな?」くらいでしたが、少しずつ飲んでいくうちに「こりゃ不味いな。」と。
最後の方は無理やり飲んでました。
下剤を飲み終える頃には、お腹が緩くなってきて「ト、トイレ・・・」状態に。
当然、1回トイレに行ったくらいでは収まらず、結果として4回ほど用を足しに行きました。
便の色が無色になるまでは検査が出来ないため、「そろそろかな?」という段階で看護師さんを呼んで、便の色を確認してもらいます。
ちょっと恥ずかしいけどね。
で、看護師さんからGOサインをもらい、いよいよ大腸内視鏡検査です。
診察台に横たわり、肛門から内視鏡を挿入。
といっても肛門に器具を取り付けて入れているようで、内視鏡の出入りは感じません。
また、痛みなども無いため、ツライ感じもなかったです。
上を見上げると、そこにはモニターがあり、我が大腸内部が映し出されています。
「おぉ、ホルモンじゃん!今日、帰ったら焼き肉食べに行くぞ!」
そう誓った瞬間です。
さて、内視鏡は大腸を順調に進んでいましたが、腹部左上部へ差し掛かった時、「内視鏡の向きを変えるから、ちょっとお腹を押すよ。」と看護師さん。
「イタタタッ!」
無理やり腹部を抑え込む看護師さん。
そのパワーときたら、お腹の上に乗ってるよう。
この時はさすがにツラかったですね。
「あれ?ポリープがあるねぇ。」
先生のお言葉。
「このまま取っちゃおう。」
「えっ?マジっすか?」
「大丈夫、保険も下りるし。医療保険とか入ってるでしょ?」
「えぇ、まぁ」
「こいつはちょっと大きいねぇ。」
「もう1個あったよ。」
で、大腸ポリープが合計3個も発見されました。
7㎜・4㎜・3㎜という大きさ。
「大丈夫だと思うけど、一応検査に回しておくね。」
おいおい、まさか大腸ガン?
結局、面白い体験ができたという感想の大腸内視鏡検査でした。
もちろん、焼き肉を食べに行きました。
入院日当日。
奥さんに色々と準備をしてもらい病院へ。
まずは大腸内視鏡の検査結果を聞きに診察室へ。
「ん~、問題はなかったよ。でも、命が助かってよかったね~!放置してたら危険だったからね。」なんて軽々しい言葉。
ビビらすなよな。
で、入院の説明時、こんな提案をされました。
「治験って知ってる?」
製薬メーカーの人が病院にいて、患者さんに治験をお願いしているんですね。
内容的には
・術後の鎮痛剤の効果をみる
・内服薬の成分を軟膏薬にしている
・成分の量が0%・5%・10%と何種類があり、どれになるか分からない
・途中で止めてもいい
・個室である
要するに、相部屋の金額で個室に入れて、ツラければ途中で止められる。
ただし、効果がない場合には痛みが取れないことも。
さらに謝礼金として数万円がもらえました。
誰が断りますか?
もちろん即決でOK!
入院当日の夜、食事はゼリーみたいなものだけ。
個室に一人、寂しく過ごします。
そしていよいよ緊張の手術日。
まずは腰椎麻酔から。
看護師さん曰く「言った通りにしていれば痛くないからね。」とのこと。
痛いのは嫌なので、言いつけを守り麻酔をします。
凄い圧迫感で「グ~ッ」と強く押される感じではありますが、決して痛くはありません。
で、そのまま手術台へうつ伏せに横たわります。
足を広げられ、お尻を広げられ、肛門も広げられ。
情けない格好です。
肛門になにかを入れている様子で、「いつから開始なんだろう?」と。
まだまだ足の感覚もバッチリあるし、腰椎麻酔って下半身麻酔でしょ?
始める時には「では始めます。」とか「メスッ」とか言うんじゃね?なんて思いながら待っていると「痛くない~?」だと。
「えっ?」
「もう切ってますよ~。」
正直、膝下とかも普通に動かせるし、まさか手術開始しているとは驚き!
結局、お尻に何かはさまった感じのまま手術終了です。
手術台からストレッチャーへ移動する際、自分で移動できそうなくらい足の感覚もしっかりしてたんですが、シーツごと看護師さんが乗せ換えます。
で、そのまま病室へ。
無事に生還しました。
しかし、ここからが本当の勝負!
治験の始まりです。
術後は6時間くらい動いてはダメで、トイレに行く場合には看護師さんを呼ばなければなりません。
特に最初のオシッコの時が肝心で、麻酔の関係でオシッコが出ない場合があるそう。
そんな時はカテーテルを先っぽから挿入して、オシッコを出すそうです。
わたしの場合は無事にオシッコが出たので、事なきを得ました。
そして麻酔が切れてくると襲ってくるのは患部の痛み。
看護師さんからは治験薬を時間で塗りにくるとのことだったので、それまで痛みとの戦いです。
まだ腰椎麻酔から完全に抜けてない段階では、耐えられる痛みだった肛門。
時間と共に痛みが強くなります。
ズキンッ!という一瞬の強い痛みなら耐えられますが、ジワジワとズキズキと痛みが襲い掛かってきます。
痛みで寝ることもできないほど。
頭の中に浮かぶ「効果0%の薬もあるから。それに当たったら痛いよ。」という先生の言葉。
こりゃ~絶対に0%引き当てたな、としか思えない痛み。
そして「耐えられなくなったら普通の鎮痛剤を出すから。治験を止めてもいいから。」という言葉を思い出す。
・・・
ナースコール。
ギブアップ・・・
なんと初日で治験をギブアップしてしまいました。
情けない。
もらった鎮痛剤はすぐに効いて、何とか眠りにつくことができた次第です。
実際には何%の薬だったかは教えてもらえませんが、あれは絶対に0%に間違いありませんね。
さて、入院は10日間の予定でしたが、初日で治験を中止したわたし。
しかし、治験を中止しても待遇は変わりません。
入院中、ずっと個室でした。
痔で入院した場合、個室というのは重要です。
理由は「お風呂」
患部を温めると痛みが和らぐので、自由にお風呂に入れるのは一番ありがたい。
この特権は治験に参加したおかげです。
あとは他人のイビキを気にすることなく眠れるのは助かりますね。
ちなみに術後、ウンチをするときは痛いですよ。
でも先生からは「痛くても普通に出すように。出して広げないと肛門が狭くなる場合があるからね。」と言われていたので、痛みに耐えながら出します。
術後、しばらくは軟便になる薬を処方されているので、硬くて太いものは出ませんが、それでも痛いです。
まぁ、1週間もすればほとんど耐えられるようになりますから心配はご無用です。
それと用を足したあとウォシュレットを使用しますが、イボ痔の場合にはウォシュレットのジェット噴射による痛みはありません。
患部が肛門の内側にあるため、ジェット噴射が直接患部に当たらないためです。
痔ろう患者に聞いた話だと、痔ろうの場合には患部が外側にもあるため、ウォシュレットのジェット噴射は地獄のようだとか。
痔ろうでなくて良かった・・・
入院中、とにかくツラかったのは時間との戦い。
しょせん、イボ痔なので肛門以外は何も問題はありません。
身体は思いっきり元気ですし、頭の中もスッキリしてるので、とにかく暇。
昼間は奥さんもお見舞いにきてくれるので暇つぶしになりますが、することがないというのは非常にツラいですね。
何冊か小説を買ってきてもらいましたが、すぐに読んでしまうし、テレビをみるのにもお金がかかります。
結局、テレビ代は結構かかってしまいました。
入院中、何度か先生の触診をうけましたが、特に問題もなく無事に退院。
実は入院を年末に設定し、退院後は数日休みをもらって、そのまま正月休みへ入るスケジュールだったので、身体的には楽ができました。
もし、イボ痔で手術が必要な時にはスケジュールをうまく調整することをお勧めします。
退院後はそれほど大変ではありませんが、出来ればウォシュレットがある生活だといいでしょう。
わたしの家にはウォシュレットがなかったので、簡易版のウォシュレットを購入し、その都度、使用していました。
あと、しばらくは傷口から体液がでるので、お尻にガーゼを当てての生活です。
仕事中のガーゼ交換が面倒でしたね。
今となっては、面白い体験でしたし、いい思い出です。
それに生命保険・医療保険に加入していたおかげで、数十万円ほど頂いたので借金返済につながったのが嬉しいトコ。
事あるごとに奥さんから「痔になってない?」と言われてますがね。
あれから2年と少しが経ちました。
そろそろ大腸内視鏡検査でも行こうかな?
いぼ痔かも?と思っている人はこちらもお読みください。
悩むより、行動ですよ!