あれからどうなってしまったのだろうか。
今朝、燃えるゴミの日だったので、出勤途中のゴミ集積所へ立ち寄った時の事。
すでにポツポツと降り始めている雨の中、何やら見慣れぬものを発見しました。
ゴミ集積所のネットに、白く輝く小さな点。
よく見ると、脱皮したばかりのセミではありませんか。
ネットにしがみつくセミ
発見した際の状況はこんな感じ。
広げられた青いネットに小さな白い点が見えました。何故か見た瞬間に「セミ?」と思えたのは、昭和生まれのオッサンだからかな?
しかし、不可解です。周りには幼虫が上るような木が生えているわけではなく、どちらかといえば原っぱ。こんな処になぜ?
周囲を見渡すと、やはり抜け殻が落ちていました。セミとの距離は60cmくらいでしょうか。抜け殻自体は何かに掴まっていたわけでもなく、コロンと普通に落ちていただけ。
これは幼虫が地上に出たものの、掴まる場所もなく脱皮が始まってしまったということなのかな?脱皮してしまった成虫はあてもなく彷徨い、何とかネットに辿り着いたと。
う~ん、不思議。
しかし、このセミには多くの困難が立ちはだかっています。
降りかかる数々の困難
わたしはすぐに気が付いたので、ネットを無造作に上げることもせず、そっとネットの脇からゴミを置いて立ち去りました。出勤途中なのでね。
しかし、今日は月曜日。台風だといえども多くの可燃ごみが持ち込まれることでしょう。おそらく、セミに気が付かない人もいるはず。この時点でほぼアウトでしょうね。
さらに、この天候です。晴れていればもしかしたらセミに気が付くことも出来たかもしれません。しかしこの雨ではゴミを置いて早く家に戻りたい気持ちの方が強く、セミに気が付くことは難しい。やっぱりアウトです。
そして、多くの困難を乗り越えたとしてもゴミ収集車がやってきた時点で100%アウト。作業員はセミのことなんて構っていられませんから。
哀れ。
セミの生態
セミって幼虫のまま地中で長期間過ごし、地上で成虫となってからは数週間程度で寿命を全うします。それくらいは誰でも知っていることですが、セミの産卵から孵化~羽化までについては知られていないのではないでしょうか。
セミの産卵
夏の一時期、この世の春?を謳歌したセミ達は恋に落ち、次の世代を残すために産卵を行います。幼虫は地中で生活していますが、産卵場所はなんと木の幹。
産卵管を木に刺して、卵を産み付けていきます。
木の幹の小さな穴なんて正直見つけられないので、産卵場所を特定するのは難しいでしょうね。
卵の孵化
産み付けられた卵は約1年後、幼虫となり木の表面へ出てきます。そしてそのまま地表に落ち、地中へと潜っていくのです。産み付けられた場所がちょうどコンクリートの上にあたってしまうと、落ちた幼虫はどうなってしまうのでしょう。
地中の生活
地中では木の根などから樹液を吸って生活します。しかし、地面の下にはモグラなどの天敵がいるので常に危険と隣り合わせ。さらに冬虫夏草のような菌類に侵される場合もあります。
それらを乗り越えた先に待つのが地上の世界です。
いよいよ成虫へ
地中からはい出した幼虫は、木などに登り羽化を待ちます。外敵などに襲われないよう、日没後、ゆっくりと背中側が割れ、中から純白の身体を持ち上げます。
幼虫の殻からでた成虫は、しばらく羽が乾き、飛び立てる準備が整うまで静かに待ちます。
しかし、ここで疑問。幼虫は地中を移動するでしょうから、アスファルトの下に移動してしまった幼虫はどうなってしまうのでしょうか。
以前、どこから出てきたのか分からないセミの抜け殻が、電信柱に付いていたのを見たことがあります。どこかしら場所を見つけて出てくるのでしょうね。
最大の敵は台風
色々とセミについて考えてみたのですが、このセミにとって一番の敵はこの台風のようです。
羽化したばかりの状態で、この雨、この風にさらされてはひとたまりもないでしょう。羽が乾くこともなく、そのまま絶命してしまう運命のようです。
自然というのはかくも厳しく、時に残酷なもの。そんな思いで、その場を立ち去りました。
ちなみに、ゴミ集積所のすぐ脇にはこんなものも。
ゴキブリ!のおもちゃ。
以上、「台風が来るというのに脱皮してしまった蝉をゴミ集積所で見つけたが・・・」でした。